大地の芸術祭

 

越後妻有トリエンナーレに行ってきました。

 

 

強い日差しの中、汗を流しながら里山をめぐって

アートを満喫してきました。

 

このトリエンナーレに作品を出すことが出来て本当に良かった。

私がここ半年作り続けている"Still life"というシリーズに込めている

思いと、この大地の芸術祭のコンセプトはとてもマッチしていたからです。

 

このトリエンナーレは、越後の集落の在り方をとても大事にしています。

作品は各集落に点在しているから、訪問者は汗をかきながら蒸し暑い里山を登ったり降りたりする。

見たい作品がひとところに纏まってる訳じゃないし、なんの目印もない田畑の中に立つ作品を

探し出すのは時に困難だったりします。

そんな作品のそばには集落のおじいちゃんが立っていて、嬉しそうに作品の説明をしてくれます。

それは不便に思いながらもその土地を誇りに思い、離れられない人々の感覚を

肌で感じられて、訪問者にその土地のことを強く記憶させる体験になると思いました。

 

一方、私の作品"Still life"は、一枚の薄い金属板から虫の展開図を糸ノコを使って

切り出し、その一部が土台の板とつながっている状態のまま立体的な虫に仕上げています。

この写真のカミキリムシでは、画面左に見えている後ろ足で土台とつながっているのが分かるでしょうか。

一見リアルで飛べそうに見える虫でも、自分が生み出された場所からは離れられない。

自分自身の力では変え難い、持って生まれた環境や才能(の欠如)には

誰しもが苦しめられるけれど、もがくことを厭いたくはない。

 

生きる場所や条件から逃れられなくとも、あるがままに生きるものの姿を表現したいといつも思っています。

 

モチーフのくくりで集められた今回の展示でしたが、こんな風に作者本人としては

とても気持ちがリンクしていたのでした。

 

ちなみにStill lifeとは、西洋美術で静物画を指すことばです。
中世ヨーロッパで絵画の1ジャンルとして確立された静物画では、美しく満開の花を生けた花瓶の足元には

必ず枯れた花を描くなどして、対比するモチーフで現世の無常や死の不可避性などを表すことがセオリーでした。

この作品では、切り抜かれた跡と立体の虫が「静と動」や「無と有」として対比されています。